木
25
6月
2009
須賀敦子を読む 湯川豊
最初に須賀敦子さんの名前を知ったのは本の数年前、神戸出身の切絵作家、成田一徹氏の「神戸の残り香」でした。自分もよく行った神戸公館の海側の下り坂の途中にある古書店を味わいのある切絵と短文で紹介した章に須賀敦子さんの「トリエステの坂道」の一節が引用されていて、神戸大好きの自分は女史の著書にはもっと神戸に関する事を書いてくれているのだろうと図書館で何冊か借りてきました。そして私の前述した期待は半ば実現し、半ば良い方に裏切られました。頭脳明晰にして品格があるのはもちろん、文体がとてもクールで自分の大好きなハードボイルド小説に通じるものを感じ、それ以来須賀さんの大ファンになりました。今回出版された元担当編集者による解説書とも回顧録ともいえる本書は須賀ファンならずとも"男前"な須賀敦子氏の知性的で端正かつ濃密な人生(短すぎましたが)に感動することうけあいです!
新潮社

